大人の同情の目が辛かった記憶です
小学生なのに体重が減りました。
母子家庭でした。小学3、4年生の頃、学校で定期的に行われる身体測定で前回検診よりも体重が減っていた時がありました。
「成長期なのに。ご飯、食べてないの?」と言われました。
うっすら自分が貧乏だとは感じていましたが、普通にご飯を食べていたつもりでした。
虐待もありません。
普通に仲良く暮らしていました。
が、やはり栄養は充分ではなかったのでしょうね。
先生の顔が忘れられません。
おそらく身体測定の為に近隣の病院から派遣されて来ていた先生だと思いますが、小学生の私から見ると母親くらいの女の先生で、「ご飯、食べてないの?」と言った時の眉をひそめた厳しい顔、哀れみと同情と疑惑を浮かべた表情が忘れられません。貧乏なのだと見破られた気がしてとても恥ずかしい気持ちになりました。
「健康記録」みたいな用紙に何か書かれました。
母親に伝えました。
「健康記録」を見せて、痩せた事を伝えました。母親をなじったわけでも責めたわけでもなく、「痩せたせいで先生に叱られた」という報告をした感じです。
「だから何なのよ」と意に介さない程度でした。
私も特に食事の質や量で不満を持っていたわけではなかったのでそれ以上は言いませんでしたが、子供心にいい知れぬ不安と、何かプライドを傷つけられたそんな複雑な思いが残りました。
大人になってから。
子育て中はママ友と毎日の食事作りの話題になったり、子供の頃の話になる事が多いです。そんな中で「大根おろしだけでご飯を食べていた」「オヤツは小袋のスナック菓子も兄妹三人で分けた」など私にとっては当たり前だった日常が貧乏ネタになる事に気づき驚きました。
母親も苦労したと思います。
あの時、母親は本当はどう思ったのでしょうか。
恨みはありませんが、あの頃の母親も自分も、思い出すと不憫ですね。
気になる母子を目撃
スーパーで気になる母子の姿を目撃した。私はその時、葉物野菜のコーナーでキャベツを選んでいた。
その店では、一玉まるごとキャベツを陳列している棚のわきに、空の大きな段ボール箱を設置していることが多い。
なぜかと言うと、外側の一枚目をむしって捨てる人が大勢いるからである。
理由は、それぞれだろうが、単純に「汚れが気になる」ということと「農薬を多く浴びている可能性が高いから口にしたくない」というのが大半だと思う。
だから、その母子の行動は周囲の買い物客を唖然とさせていた。
若い母親が幼稚園くらいの女の子を連れていたのだが、手には大きなビニール袋を握っており、その中に、捨てられたキャベツの外葉をせっせと拾い集めていたのだ。
周囲が遠巻きに見ている中、年配の女性客が進み出て女の子に声をかけた。
「それ、ウサギか何かにあげるの?」
「ううん。みんなで食べるんだよ。これはタダだから泥棒じゃないんだよ。」
女の子がそう答えるのと同時に、母親がその子の手を引っ張って、そのまま早足で売り場からいなくなった。
その女の子も母親も、とても痩せていた。