独特な鳴き声のフクロウ観察が面白い
意外と身近なエリアに生息するフクロウ
動物園やペットショップでは良く見るものの、まさか自宅近辺に数多く生息しているとは思わず、ビックリされる動物の典型例として、フクロウが挙げられます。知恵の象徴として古くから崇められ、愛くるしい表情が人気のフクロウですが、意外にも生息エリアは大変身近で、春先から初夏にかけての夜間、近くの雑木林から頻繁に独特の鳴き声が聞こえて来るものです。
犬の遠吠えと間違われ易いが…
フクロウは主に夕刻から深夜にかけて「ボロ着て奉公」と聞き慣らされる独特の鳴き声を森の中から発しますが、多くの人はまさかこんな身近な場所に野生のフクロウがいるとは思えず、たとえ鳴き声が聞こえて来たとしても、犬の遠吠えと誤認してしまうケースが多いのです。実際聞き比べてみると結構紛らわしいのですが、鳴き声のパターンが明らかに異なり、注意していればすぐに判別出来る様になります。
実際は「ホーゥ・ホホッホホッホ」という鳴き声を数分置きに繰り返し、遠くまで良く響きます。
また夕刻から夜間、山道や緑地公園の遊歩道を歩いていると、上記のオスの鳴き声に対し、近くにいるメスが「ギャー」と鳴いて応える、いわゆる鳴き交わしも観察する事が出来ます。
何とか姿を見るなら夕方にチャンスが
夕刻から夜間こそ身近でその鳴き声を堪能出来るフクロウですが、別名「闇の猛禽」と呼ばれている様に、日中は全く活動を行わず、その姿を拝むのは大変難しいと言わざるを得ません。それこそ大木や古木の樹洞を丹念に双眼鏡でチェックするか、偶然の出会いを期待するしかありません。多くの人に生息の事実が驚かれるのも、こうした日中大変目立ち難い活動パターンが大きく影響しているのは確かでしょう。
あえて夜間その独特の姿を観察したいのであれば、鳴いている樹を驚かさない程度に懐中電灯で照らし姿を確認するか、ナイトビジョンの双眼鏡を持ち出すしか無いでしょう。
むしろチャンスが高いのは曇天時や夕刻で、林から林へとのんびりフワフワ飛んでいる姿を発見出来るチャンスがあります。
日中観察したいならコミミズクを探す手も
夜行性の種類が非常に多いフクロウの仲間ですが、どうしても夜が苦手…という人でも、彼等をしっかり観察出来るチャンスはあります。というのも、毎年冬場になると大陸の方からコミミズクが越冬の為日本に渡って来て、主に日中から夕方にかけて広大なアシ原で餌を求め活動するからです。
餌となるネズミの数により渡来数が増減する様で、事前のしっかりした情報収集が必要ですが、関東平野の特定のエリアなら、他の猛禽類と共にゆったりとアシ原を舞い、ネズミを捕獲したり杭の上に止まり休んだり、といったコミミズクの姿をじっくり観察する事が出来ます。
一方フクロウでも、雪の多い寒冷地なら日中に活動する個体もおり、観察出来るチャンスはあります。
明るい中はっきりとその活動を見れるフクロウの仲間は大変貴重ですから、しっかりマナーを守り観察を楽しみたいものです。