事故有等級における保険料の差
事故有等級とは
交通事故を起こして自動車保険を利用すると、翌年度のノンフリート等級が3等級ダウンすることになる。一昔前は単に等級がダウンされるだけで済んでいたが、保険料システムの改正によって、新たに「事故有等級」という制度が導入された。
新制度では等級がダウンするだけではなく、保険料の割引率まで下がるようになった。
従来、15等級の人が事故を起こして保険を利用すると12等級になり、11等級の人が無事故でランクアップした12等級と同じ保険料になっていた。
しかし、新制度では同じ12等級でも、ランクダウンした人とランクアップした人では支払う保険料が変わってしまう。
事故有等級が導入された背景
事故有等級では、3等級ダウン事故(通常の交通事故)の場合は翌年から3年間事故有係数が適用され、1等級ダウン事故(盗難やいたずら)では1年間の適用となる。従って、3等級ダウン事故を起こすと、元の割引率に戻すまでに3年間は無事故でいなければならない。
新しい制度が導入された背景には、保険料における平等という観念がある。
つまり、同じ等級の人でも、事故を起こした人というのは危険運転をしていることが考えられる。
そういう人と、安全運転を心がけている人が同じ保険料では公平さに欠けるという考え方が根底にある。
また、多額の保険金を得た人と、1円も使っていない人が同じ保険料では不平等と言える。
公平・公正さを保つため、同じ等級でも負担する保険料に差が付けられることになった。
保険料の差
事故有等級制度が設けられたことで、同じノンフリート等級でも2種類の割引率があることになる。例えば、17等級の人が保険を使ったことで3等級ダウンして14等級になると保険料の割引率は31%になる。
一方、無事故で14等級になった人は50%の割引を受けられる。
同じ等級でも、保険料に19%もの差が出ることになる。
また、20等級で事故を起こして保険を利用すると、従来は17等級の57%割引になったが、新制度では事故有係数によって38%割引でしかない。
つまり、同じ17等級でも、無事故でランクの上がった57%割引の人と、事故によってランクの下がった38%割引の人がいることになる。
さらに、新制度におけるペナルティは3年間継続されるため、今年無事故で15等級に上がっても通常の51%割引ではなく、33%の割引しか受けられません。
基本となるノンフリート等級とは
自動車保険のノンフリート等級は1等級から20等級までの20段階になっており、新規の契約の場合は6等級若しくは7等級からスタートする。6等級から始まる理由は、1~5等級はデメリット等級になっており、保険料が割引ではなく割増になっているからだ。
ノンフリート等級は前回の契約の満期日から13ヶ月間引き継がれるため、リセットすることができない。
つまり、5等級以下になったからといって、保険会社を変えて契約しても、6等級からスタートすることはできないシステムになっている。
ちなみに、事故を起こしても、保険を使わなければ等級がダウンすることはない。
従って、小さい損傷しかない事故の場合は、保険を使った方が得かどうかをよく計算してから決めた方が賢明だ。