人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険には違いがある
人身傷害補償保険とは
自動車保険の主たる商品に対人賠償保険や対物賠償保険があるが、「賠償保険」という言葉の通り、「相手」の損害を補償するための保険である。つまり、「自分自身」の損害に対する補償は無い。
そこで、自分や家族を守るための保険が「人身傷害補償保険」である。
この保険は契約車に乗っている搭乗者が交通事故でケガを負ったり死亡したりした場合に、自分の過失に関わらず、保険金が支払われる。
また、保険金額の範囲内で、実際の損害分全額が支払われる「実損払い」になっている。
なお、入院や通院に要した治療費用や、仕事を休んだことによる逸失利益、慰謝料なども全額補償してもらえる。
人身傷害補償保険のメリット
人身傷害補償保険に加入すると、以下のようなメリットを得られる。即時支払い
通常、相手側の自動車保険からの賠償金というのは、示談によって金額が確定していないと受取ることができない。この保険は示談の成立に関係なく、保険金を受取ることができる。
自動車事故でなくても家族全員が補償の対象
契約者本人とその家族であれば、契約車に搭乗中の事故でなくても、補償の対象になっている。例えば、契約車以外の車(友人の車、バス、タクシーなど)に搭乗中の事故や、歩行中、自転車運転中の事故による損害も補償される。
相手のいない事故も補償の対象
自分の運転ミスでガードレールにぶつかった単独事故や、当て逃げなどの相手の分からない事故でも補償を受けられる。搭乗者傷害保険とは
契約車に搭乗していた人の損害を補償する保険が「搭乗者傷害保険」である。搭乗者(運転者を含む)であれば、過失の有無に関係なく補償される。
ただし、飲酒運転や違法運転などによる事故の損害は補償されない。
なお、搭乗者傷害保険の保険金は、対人賠償保険や自賠責保険からの賠償金とは関係なく別途に支払われる。
搭乗者傷害保険の保険金の支払方法には2種類がある。
日数払い
入院や通院にかかった日数分の金額が支払われる。入院の場合は1日につき保険金額の0.15%、通院の場合は0.1%になっている。
仮に、保険金額が1,000万円の契約をすると、入院の場合は1日に付き15,000円、通院の場合は10,000円が支払われる。
部位症状別払い
ケガをした部位ごとに決められた金額が支払われる。例えば、ムチ打ちは5万円、腕の骨折は35万円、足の切断は100万円などと、予め保険金額が決められている。
人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険の違い
人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険の主な違いには以下がある。 (左:人身傷害補償保険/右:搭乗者傷害保険)- 補償内容:死亡、ケガや後遺障害、休業損害、精神的損害など/死亡、ケガや後遺障害
- 補償範囲:車内・車外/車内のみ
- 保険金:実際の損害額/契約時に定められた一定金額
- 相手からの損害賠償金との関係:二重請求は不可/損害賠償金と関係なく請求可
人身傷害補償保険は保険金額の範囲内で、実際にかかった費用や損害額が補償される。 搭乗者傷害保険は実際の治療費に関わらず、一定金額が支払われる。
保険金額の比較では以下になる(左:人身傷害補償保険/右:搭乗者傷害保険)。
- 死亡・後遺障害:3,000万円~無制限/500~2,000万円
- ケガ:実際にかかった損害額/1~100万円