労働争議とは建前
労働審判を知っているだろうか?
労働審判制度が2006年(平成18年)4月に運用が開始された。この労働審判を少し説明したい。労働審判とは三回の所謂調停を審議官、労働者側と使用者側一人ずつの計三人。
これを三回の審議を経て、労働債務の請求や、契約を一方的に切られたなど不当なあつかいに対して、裁判では本来長くなる争議を、短くすることで双方の負担を軽くするというのが趣旨であろう。
実際、長期に渡る争議は双方、資金的にもかかってしまい大きな負担となる。
そういう意味では、短期的に双方の歩みよりをうまく話合い(調停とは円卓を使った話し合い。ちなみに出廷義務はないが印紙代が半値の為安価ですむ。)がつけば問題はないが実態は違う。
問題点とはなんだ
一見労働者に有利な制度に見える。 しかし、例えば少額訴訟で60万円以下の労働債務を請求するのなら一回で済むし、何より簡易裁判所で済むので、はっきり言って手軽さならこっちだと思いますね。労働審判の大きな欠点とは代理人は必ず弁護士でないとなりません。
簡易裁判所で仮に60万円以下でなかったとしても、司法書士の代理人は簡易裁判所でも出来ます。
(移送した場合はこの限りではない。被告の希望もしくは、裁判の複雑化がある場合地方裁判所で行う事もある)しかし労働審判は必ずどういう訳か代理人は弁護士でなくてはいけません。
なぜなら労働審判は地方裁判所で行うからです。
これが労働審判へと被害を受けた労働者は一気にハードルが高くなるのです。
逡巡する労働者の実態とは
弁護士となると当然依頼料がかかります。 勿論代理人を必ずしもつける必要がありません。簡易裁判所や労働審判のいい点は、通常の訴訟とは違って素人を前提としています。
その為、通常では許されない誤字脱字は裁判所としてはOKとまでは言わないまでも、ある程度許しているというのが実態です。
これは素人を想定しているという建前があります。
しかし、裁判所としては代理人をつけるように書記官などは奨めてきたりします。
これは自分達の仕事が厄介になる事があるのです。
FAXはないかとか、裁判所では様々な指摘を受ける事はっきり言って嫌がらせに近い指摘を、素人だとされる事もあります。
では勝訴出来るかどうか解らないのに、代理人を雇っても着手金などもろもろの資金をどうねん出するのか?失業していれば尚で、それどころか早く仕事を探す必要がある訳です。
このように少額の賃金請求については、労働審判の実態として泣き寝入りをさせようとしているように、私には見えてなりません。
ヨーロッパと違う点はどこだ
実はドイツ式とフランス式に大きく労働争議とは別れています。例えばドイツ式は現在の日本がやっている労働審判とよく似ているように思います。
しかしドイツは近年まで、最低賃金が存在していませんでした。
おとなりフランス。
フランスでは労働争議については、選挙に選ばれた裁判官がこうした労働争議に裁判所と違う形で選任されます。
つまりより多く居る労働者の支持がなければ裁判官になる事ができません。
このように日本も本来フランスとまで行かないまでも、労働争議となった場合それに少なくとも相談に乗ってくれる機関が必要だと思います。
労働審判を素人がやるにしても、申立書をどのように作ったらいいか裁判の訴状を作った経験がないとやはり難しいでしょう。
そもそも、裁判所自体素人にとって怖いものです。
このように建前上労働者が救われている事もありますが、実際は泣き寝入りをするという制度に私には見えます。