衰退する地方の市場
これも時代の変化だ
若いころに市場に従事していました。市場というとセリを主にやっているイメージがありますが、私が従事していたところはこんな感じで、築地市場→大宮市場という感じで埼玉県はこの大宮の市場から埼北にある市場などに商品を供給するというのが、地方市場です。
これは青果も同じで例えば伊勢崎市にもありますが、この大本は前橋にあります。
海の商品もあれば山にある商品もある。
この中間地点にあるのが地方の市場なのです。
しかしこの近年、こうした地方の市場も衰退にあるのが現状ではないでしょうか。
自分が退社してから20年経過しましたがかなり様相が変わりました。
客層はどういうものなんだ?
所謂個人店を中心に販売します。所謂小売店というのがこれにあたります。
あるいは個人でやっている居酒屋さんなどの、飲食店が市場を利用します。
裏の事情ですが、すでに切るところまでやっているものを売っている商品もあるのです。
居酒屋さんとしてはお皿にもるだけでお金が取れるのです。僕らは皿代商品とか思っていました。
余談ではありますが、私は高校卒業後一人で2トントラックで配送をしていましたが、いきなりぱんついっちょで出てきた店主にショックを受けた事を未だに覚えています。
誤解の無いように言っておきたいのですが、勿論料理が好きでその道を志した人も居ますが、中には社会生活がなじめないでこうした道を選ぶ人も居るのも事実なのです。
当時の先輩にそういう説明をされて納得いった部分も多々あったように思います。
なぜ衰退してしまったんだ?
大型スーパーの進出が結構大きいかもしれませんね。この中間にある市場のようなところではなく、一気に大量に買って値段を下げるというのは大型スーパーの強みです。
最近では個人店に配達までしてくれるサービスまでしています。
そうなると市場で買うというメリットはあまりないのかもしれません。
ただこれは時代の流れとしてもう一つ大きなところがあります。
それは工場の海外移転があるように個人的に思います。円高が影響で海外に工場が移転していきました。
そうなると、地方の仕事は農業か、工場しかない訳ですがその工場が海外に流出。
規制緩和で派遣ばかりが雇われ、その結果人間関係が希薄となり付き合いもなくなります。
忘年会などは限られ、唯一あったのが葬式の互助会というんでしょうか。
法事とかそういう感じの宴会はそれなりにありなんとかそれで、経営を維持している感がありました。
20年間。
デフレで不景気では消費は当然伸びない訳です。
20年くらい前から陰りがあった
築地などの大きなところと地方の市場が違う点は、沢山のお店が都心程ある訳ではないのです。それこそぽつんと個人店があるようなところもあります。
そうなると、需要がないのに存在だけしている市場という事になります。
ちなみに地方の市場で鮮魚を取り扱っても居ますが、高い真鯛などの発注は基本予約せいとなっています。
そうした高い商品というのは都心中心であって、地方の人が態々高いお金を支払うイベントはせいぜい結婚式程度になります。
ちなみに連子鯛というのがあるんですが、これは焼鯛にして葬式によく出ていました。
値段が安く鯛という名称がそれなりに高級感があったようですが、正直おいしいと思いませんでした。
こうした時代の変化と立地的な環境からか、地方の市場は衰退しているというのが現実だと思います。